【礼拝説教】  「約束を破る人」  辻 幸宏牧師



  創世記3章1〜24節(新共同訳聖書)

 創世記1〜2章では、人は神にかたどり、神に似せて、命の息が吹き入れ創造されたことが記されていました。つまり人は、神様によって、生きる者として、創造されたのです。しかし、私たちは現実に、今、死を逃れることの出来ないものとされているのです。私たちは誰一人、この肉体の死から逃れることが出来ません。それは、最初に神様によって造られた人が、神様との約束を破り、罪を犯したからなのです。
 神様は人を創造された時の約束は次の通りです。「園のすべての木から取って食べなさい。ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう。」(2:16,17)。しかし蛇が女に近寄ってきて、語ったのは「園のどの木からも食べてはいけない、などと神は言われたのか。」(3:1)です。似て非なるものです。すり替えが行われているのです。罪、罪に関わるサタン・悪霊は、あたかも語っていることが正しいかと思わせるような言い方で、実は全く異なったことを認めさせようとするのです。それが罪です。昨今、おれおれ詐欺が横行しています。これこそ蛇と同じ手口を使っているのです。
 私たちは、日々サタンの誘惑にさいなまれています。だからこそ、この蛇のようなだまし、すり替えに対して、それを見抜くことが求められます。そのために真理の知識を知る必要があります。真理であり、善悪の基準を提示するのが、御言葉である聖書です。私たちは聖書の知識を蓄える必要があるのです。同時に、私たちの隙をついてくるサタンに、敏感でなければなりません。おれおれ詐欺を知っていても、警戒しなければ騙されるのです。同様にいくら聖書知識を蓄えても、サタンが巧みに語りかけてきた時に、それが危険な事柄であることに気が付かなければ、騙されるのです。この隙をサタンは狙っています。
 この蛇のすり替えを女は気が付きます。騙されまいとしたのです(2)。しかしこの後に「でも、園の中央に生えている木の果実だけは、食べてはいけない、触れてもいけない、死んではいけないから、と神様はおっしゃいました。」(3)と女は答えます。神様は「触れてはいけない」とは語っていません。僅かなずれですが、これは死に対する恐怖心が芽生えていることを意味します。これは、主が生かして下さり、そのために全ての木の実をお与え下さっている感謝が、全て吹っ飛んでしまうものです。そして女は主に従おうと願いつつも、ここに恐怖の故に、逃げたいと思う心が出てくるのです。
 その隙をサタンは狙っています。4節の蛇の言葉は神様の言葉とは全く異なることですが、神様に不信感を持った女はその言葉に従い、木の実を食べ、男にも渡したのです。
 神様との約束を破った人は、隠し、隠れるのです(7,8)。罪の故の後ろめたさから生じてくるのです。そして言い訳・言い逃れをするのです(12,13)。そして神様の約束の故に、罪の刑罰としての死が、人に持ち込まれたのです。
 今を楽しもうとする現代の人々は、肉体の死をもって全てが終わるとの思いで、今を大切にするのではないだろうか? しかし人は地上の生涯を終えると肉体は朽ち果ててしまいますが、魂は生き続けるのです(ウェストミンスター信仰告白第32章「死後の人間の状態について」1「人間の体は、死後、塵に帰り、朽ち果てる。しかし、不死の実在を持つ彼らの魂は(それは死ぬことも眠ることもない)、それを与えられた神に立ち返る。義認の魂は、そのとき完全に清くされて、最高の天に受け入れられ、そこで彼らの体の完全な贖いを待ちながら、光と栄光の内に神の御顔を見る。また、悪人の魂は、地獄に投げ込まれ、そこで大いなる日の裁きを受ける身となって、苦しみと完全な暗黒の中にとどまる。聖書はこの二つの場所以外に、体から引き離された魂に対して、いかなる場所も認めていない。」)。そして永遠の苦しみが待ち受けます。つまり私たちは地上の生涯が80、90年と長く感じますが、永遠に比べれば非常に短い期間なのです。
 しかし主なる神様は、生きる者として創造された人が罪を犯したにもかかわらず、愛しておられたからこそ、救いの御手を差し出して下さったのです(15)。14-15節は、蛇に語った呪いの宣告ですが、15節は原福音と呼ばれ、「彼」とはイエス・キリストのことです。サタンはキリストを十字架に架け殺します。しかしそれはかかとを砕く程度で、キリストは復活を遂げられ、死に勝利されます。それが、蛇の頭を砕くことを指しています。このキリストの受難と勝利を、主は、人が罪を犯した直後にお語り下さったのです。まことに主の愛と恵みは驚くべき御業です。神様の愛と救いの御業を受け入れ信じる者には、最初に創造された時の状態である永遠の生命が約束されています。地上における様々な苦しみもあるでしょうが、それは一時です。神の国における永遠の恵みと祝福を目指して、救いにある感謝と喜びをもって、歩み続けていきましょう。



                                              (2004.11.28)
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