【礼拝説教】  「主の命令」  辻 幸宏牧師



  創世記6章9〜21節 (新共同訳聖書)

6:9 これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは神に従う無垢な人であった。
   ノアは神と共に歩んだ。
6:10 ノアには三人の息子、セム、ハム、ヤフェトが生まれた。
6:11 この地は神の前に堕落し、不法に満ちていた。
6:12 神は地を御覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なる者はこの地で堕落の
   道を歩んでいた。
6:13 神はノアに言われた。「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。
   彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。
6:14 あなたはゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟には小部屋を幾つも造り、内側にも
   外側にもタールを塗りなさい。
6:15 次のようにしてそれを造りなさい。箱舟の長さを三百アンマ、幅を五十アンマ、高さを
   三十アンマにし、
6:16 箱舟に明かり取りを造り、上から一アンマにして、それを仕上げなさい。箱舟の側面に
   は戸口を造りなさい。また、一階と二階と三階を造りなさい。
6:17 見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から
   滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。
6:18 わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。
6:19 また、すべて命あるもの、すべて肉なるものから、二つずつ箱舟に連れて入り、あなたと
   共に生き延びるようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。
6:20 それぞれの鳥、それぞれの家畜、それぞれの地を這うものが、二つずつあなたのところへ
   来て、生き延びるようにしなさい。
6:21 更に、食べられる物はすべてあなたのところに集め、あなたと彼らの食糧としなさい。」
6:22 ノアは、すべて神が命じられたとおりに果たした。


 聖書は「これはノアの物語である」(9)と語ります。ヘブライ語では「これはノアの系図である」と語り、新共同訳は誤訳です。「物語」ですと、おとぎ話のように作られた話しのイメージがありますが、これは主なる神様がノアの時代の歴史の中で行われた御業の事実です。
 この時代の状況については、1〜8節において語られており、改めて11〜12節で語ります。人々は「神の前に堕落していた」のです。これは、人が神様の創造された被造物であることを忘れ、創造主である神様の存在すら忘れたことを語っています。それ故に人は、自らの欲望のままに歩むこととなり、様々な全ての罪が生じてきたのです。
 人の迷惑を顧みない行為は言うまでもなく、「人に迷惑をかけなければよいではないか」といった風潮が現在日本にあります。これはまさしくノアの時代、主の裁きとして洪水がもたらされる前と同じ状況であるといって良いかと思います。
 主なる神様は、全てを滅ぼすことを決意され、洪水を起こされます(13)。人々は、主が人を裁かれる恐ろしい神とします。しかし主が滅ぼされるのは、「命の霊をもつ」者です(17)。主は御自身にかたどり、御自身に似せて人を創られ(1:26)、そして命の息を吹き入れて下さったのです(2:7)。だからこそ世を裁くことを、主は心を痛められます(6:6)。主は人が罪の悔い改めをし、主に立ち返ることをアダムの時代からノアの時代まで(10世代)待っていて下さったのです。5章の系図通り単純に足し合わせても1000年以上の年月です。しかし人は悔い改めも、神に立ち返ることも無かったがために人を裁かれるのです。主の裁きの原因は、被造物である人が創造主を忘れてしまった故です。
 しかし愛に富む神様は、滅ぼし尽くされることなくノアと家族を救って下さいます。ノアが主を信じ、主の御言葉に聞き従っていたからです。創造主である神様を崇め、礼拝し、神様の栄光を称えて歩むことにより、神の義を全うしようとする生活をなしていたのです。
 主なる神様はノアに対して、彼と家族が助かるために、箱船を作るように命令されます。そしてノアは、主の命令に従って箱船を作り始めます。大きさを想像して下さい。1アンマは約45cmです。長さ300アンマ(135m)、幅50アンマ(22.5m)、高さ30アンマ(13.5m 4F建ビルに相当)です。サッカーのグランドが100m×50mであり、大きな船となります。
 ですから雨も降らない中、丘の上に箱船を作るノアを見て、周囲の人たちはノアを馬鹿にしたと思います。事実、箱船にノアの家族以外は誰も乗りませんでした。ここにノアの信仰が表れています。主がお語り下さる言葉を全て受け入れ、主の命令に従ったのです。
 私たちには、主なる神様が聖書を通してお語り下さっています。だからこそ、私たちが創造主であり救い主である神様を信じようとする時、神の御言葉である聖書を読み続けることが求められ、聖書が説き明かされる礼拝説教に耳を傾けなければならないのです。そして主がお語り下さった御言葉に聞き従うことが求められます。これが主によって創造された被造物としての人間の取るべき行いであり、主は恵みと祝福をお与え下さいます。
 さらに主はノアに契約をお立て下さいます(18-21)。ここに主の愛があり、主の契約は破られることがありません。主は、ノアが今後の人生で主の裁きを恐れて歩むことがないようノアを配慮して下さったのです。そして洪水後にも同じ契約をお語り下さい(9:9-11)二度と全てを滅ぼし尽くすことはないとお語り下さいました(9:11)。
 今、ノアの時代と同様、世界は罪に満ちています。しかし主は契約を守って下さり、私たちは生かされています。昨年10月の新潟中越地震、12/26のスマトラ島沖地震・津波の被災者を思います。主の慰めと助けを祈ります。また私自身、阪神大震災の最中、神戸にいた者として、主によって命が与えられていることを切々と感じています。
 しかし、私たちはこれらの自然災害を通して、主が、全世界に住む人々に対して、そして今ここにいるあなたに対して、創造主であり救い主である神様を見上げ、罪を悔い改め、主の命令に聞き従うことを求めておられるのです。罪に満ちた世界にあって、今なおあなたが罪の中から主を求め、主を信じて歩むことを忍耐して待っておられる神様が、今、私たちと共にいて下さいます。この主の愛に、心から感謝して、主を信じて、主に従った歩みを、今日から始めて頂きたいものです。


                                              (2005.1.9)
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