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【礼拝説教】  「ヤコブの手紙」  辻 幸宏牧師

ヤコブの手紙1章1節

  1 神と主イエス・キリストの僕であるヤコブが、離散している十二部族の人たちに挨拶いたします。



 今日からヤコブの手紙を一緒に読み進みます。ヤコブの手紙は、新約聖書27巻の20番目で、わずか5章の短い手紙です。一般に公同書簡と呼ばれる7巻(ヤコブ、ペトロ2、ヨハネ3、ユダ)の第一番目です。公同書簡とは、一般の手紙のように特定の宛先がなく、各教会で読まれることを目的としている手紙です。

T.ヤコブ書の著者
 ではヤコブ書は誰によって書かれたのでしょうか。「僕」(1)とは「奴隷」のことです。つまり「神と主イエス・キリストの僕」とはキリスト者のことです。キリスト者にとって、神が主人であり、私たち自身は主の僕なのです。主が天地万物の創造主であり、私たち人間が被造物である関係を思い起こすことが求められているのです。そして私たちは主人である神からの御言葉を聞くことが求められているのであり、ヤコブ書では既に主によって救われ教会の指導者として立てられたヤコブを通して、主の御言葉が語られるのです。
 ヤコブとは、アブラハムの子・イサクの子ヤコブから名付けられています。そしてヤコブこそが、主なる神さまからイスラエルという名が与えられ(創世32:28)、彼の息子たちが12部族を形成していきます。従ってイスラエルでは子どもの名として「ヤコブ」が多用されたのです。新約聖書に、何人かのヤコブが出てきます。有名な人は、十二使徒の一人、ヨハネの兄弟、ゼベタイの子ヤコブです(マタ4:21、10:2)。主イエスがペトロと共に最も信頼していた兄弟です(マル9:2)。彼は紀元44年に、ヘロデ・アグリッパによって殺された(使12:2)十二使徒最初の殉教者です。次に、同じく十二使徒の一人アルパヨの子ヤコブで(マタ10:3)、ゼベタイの子ヤコブ(大ヤコブ)に対して小ヤコブと呼ばれ(マル15:40)ています。最後に、主イエスの兄弟ヤコブ(マタ13:55、ガラ1:9)です。彼は、主イエスが十字架上で死ぬ以前には、主イエスを信じなかったが(ヨハ7:5)、主の死後、復活の主の顕現に接して以来(Tコリ15:7)、主を信じ、弟子の仲間に加えられたと考えられています(使1:14)。そして彼はエルサレム教会の指導的な地位にありました(使12:17、15:13、21:18、ガラ2:9,12)。そして伝承では、西暦62年頃殉教したと言われています。100%断定することは出来ません、彼がこの手紙の著者であると、伝統的に教会は考えてきているのです。

U.離散している十二部族
 では、「離散している十二部族の人たち」とは誰を指しているのでしょうか。文字通り、離散している十二部族とは、旧約の時代、イスラエルがアッシリアに滅ぼされ補囚の民とされた時、イスラエルの民は世界中に散らばって行った人たちで、今なお世界中にイスラエル人がおります。一方「十二部族」とは、「イスラエル」のことを指し、血肉におけるイスラエル民族ではなく、霊においてイスラエルに属する者となったクリスチャンのことを語っているとも言えます(ロマ9:6-8)。すなわち肉による子供が神の子供なのではなく、約束に従って生まれる子供が、子孫と見なされるのです。神の約束によって、神さまによって召されたクリスチャンは、霊によるイスラエル(神の民)とされているのです。ですから、離散している十二部族とは、世界中に散らされているキリスト者のことなのです。つまり、ペンテコステにおいて全世界に散らばったキリスト者と共に、迫害下にあり信仰を守るために逃げていったキリスト者に対して、ヤコブは語ります。

V.私たちに語りかけるヤコブ書
 それは同時に、時代を超えて、神の民クリスチャンとされた私たちに対して語られている言葉です。だからこそ私たちは、昔の古文としてこの手紙を読むのではなく、私たちの信仰を指し示すものとして、読み進むことが必要です。私たちは当時の歴史的背景を知らなければ読むことが出来ないのですが、同時に、この言葉は、時代を超え・空間を超えた、現在に生きる私たちに対して語りかけている言葉であることを忘れてはなりません。
 最後にヤコブ書の特徴は信仰生活の規準を語ることです。主イエスの十字架から20年位が経ち、福音が広まってきている中、一方キリスト者の生活が主の教えから離れ、乱れが生じてきていたのです。そこでキリスト者に求められる生活についてヤコブは語ります。
 私たちは、既に主によって召され、信じる者とされています。そして神さまを信じる者の救いは、すでに2000年前、十字架にお架かり下さったイエス・キリストの御業によって成し遂げられているのです。感謝と喜びをもって、主に従っていきたいものです。

                                     (2007.6.3)
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