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【礼拝説教】  「試練と誘惑」  辻 幸宏牧師

ヤコブの手紙1章16〜18節

  16 わたしの愛する兄弟たち、思い違いをしてはいけません。17 良い贈り物、完全な賜物はみな、上から、光の源である御父から来るのです。御父には、移り変わりも、天体の動きにつれて生ずる陰もありません。18 御父は、御心のままに、真理の言葉によってわたしたちを生んでくださいました。それは、わたしたちを、いわば造られたものの初穂となさるためです。



 今日お読みしたテキストは、前回までの所と一変します。前回、「試練に耐え忍びなさい。誘惑に陥るな。」と語られてきました。なぜ、自分は試練や誘惑に遭わなければならないのか、神は何を求められているのか、耐えられないと思う人もいることでしょう。そこでヤコブは、16 私たちの愛する兄弟たち、思い違いをしてはいけませんと語ります。私たちにとって主なる神さまがどの様な存在であるかが問われているのです。

T.父なる神さま
 17 良い贈り物、完全な賜物はみな、上から、光の源である御父から来るのです。上とは、もちろん神さまのことです。そして御父である神さまは、光の源です。この表現は、創世記1章の天地万物の創造が背景にあります。ここでの「光」は、ただ単に「太陽」の光ではなく、天地万物の代表であり、生命の根源を指しています。しかしヤコブは、「太陽」が偶像として信仰の対象となっていることも知っており、「御父には、移り変わりも、天体の動きにつれて生ずる陰もありません」と言う言葉を付け加えます。「光」は偶像で、礼拝の対象でありません。主は永遠から永遠に生きておられ、変わることのないお方です。
 そして創世記は1:4 神は光を見て、良しとされたと語ります。天地創造を創り終えた時にも、1:31 神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。と語ります。つまり父なる神さまが下さるもののは、良い贈り物だけで、悪いものは、何一つあり得ないのです。
 そもそも「悪いもの」とは、罪に関わることであり、神さまがお与え下さった律法(十戒)に照らして、私たちが行い・言葉・心において守ることの出来ない事です。そして、神さま御自身はこれらの罪は持っておられないのです。これは神さまの御性質にも関係します。ウェストミンスター小教理問答書問4は、次のように語ります。問 神は、どのようなお方ですか。 答 神は、その存在・知恵・力・聖性・義・慈しみ・まことにおいて、無限・永遠・不変の霊です。
 神さまは、聖(聖さ)、義(義しさ)、慈しみ、真(真実)であられ、「罪」はありません。つまり、罪を持っておられない主が、罪を、私たち人間に与えることは出来ないのです。
 創造主である神さまが、被造物である私たち人間にお与え下さるものは、良い贈り物だけです。だからこそ、私たちは試練・誘惑といった困難・苦しみに対して、主なる神さまの責任にすることを行ってはなりません。主は私たち人間に必要なものを与えられるのであり、主が試練をお与えになられているのであれば、それは同時に主はそれを乗り越える力・それに勝る益をもお与え下さるのです(参照:Tコリント10:13)。

U.真理の言葉に生きる私たち
 次に主が試練や誘惑を含め良い贈り物を下さる根拠が語られます(18)。それは、真理の言葉によって私たちを生んでくださるためです。ここでの「生まれる」は、母親から子どもが生まれることではなく、再生(神の子として生まれ変わる)ことです。私たち人間は、生まれながら罪の中、肉に生き、罪の滅びに至る者でした。しかし神によって生まれ変わることにより、神の子として、罪のない者として生きるものとされたのです。そのために、御子イエス・キリストは、私たちに代わって十字架に架けられ、死を遂げられたのです。これこそが、私たちに与えられた完全な賜物である救いです。
 私たちはこの後、聖餐の礼典に与りますが、示されたパンを見て食することで十字架の上のキリストの体を覚えるのです。杯に注がれたワインを見て飲むことで、十字架の上のキリストが流された血を覚えるのです。そしてなおも、日々、新たな恵み・賜物を、主は私たちにお示し下さり、養い続けて下さっているのです。
 そしてヤコブは最後に、それは、わたしたちを、いわば造られたものの初穂となさるためですと語ります。主は私たちを御言葉により養い、真の救い、最上の贈り物をお送り下さっていますが、この主の愛の御業を私たちだけに留めておいてはならないのです。私たちが与った救いの喜びが、真理の言葉である聖書により、私たちをとおして、さらに多くの人々に伝えられていくことが求められているのです。初穂である以上、次に芽生えてくるのです。信仰の継承がなされ、福音宣教が求められています。

                                     (2007.7.15)
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