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【礼拝説教】  「真理の道へ連れ戻す」  辻 幸宏牧師

ヤコブの手紙5章19〜20節

  19 わたしの兄弟たち、あなたがたの中に真理から迷い出た者がいて、だれかがその人を真理へ連れ戻すならば、20 罪人を迷いの道から連れ戻す人は、その罪人の魂を死から救い出し、多くの罪を覆うことになると、知るべきです。


 今回でヤコブの手紙が終了しますが、この手紙にはパウロの手紙のように最後の挨拶はなく、唐突にまだ言葉が続くかのようです。

T.教会から離れた者の魂を求める
 そして最後に寄られていることは、神の御国における一人の魂の尊さについてです。ここで、真理から迷い出た者という言葉が問題になります。多くの場合、一度キリストの福音に導かれ信仰を告白したものの、教会から離れた者と解釈します。私もこの解釈が正しいかと思います。一方、まだ神さまを信じていない未信者にのことであるとの解釈もあります。キリスト教会の使命からすれば、こういう解釈をしたいとの思いも理解できます。今日は、この両方の解釈に関して考えてみようと思います。
 ヤコブは今までキリストによる救いに伴う善き業について語ってきました。キリストの十字架による罪の赦しと救いが示され信仰を告白した者は、実りとしてキリストに倣う善き業へと導かれていくのです(参照:ウェストミンスター信仰告白18:1前半)。
 しかし現実には、信仰を持ちつつもなかなか信仰の実りを表さない者もあれば、さらに一時的に教会から離れる者もいます(参照:信仰告白18:4前半)。私たちの教会にも、そうした方々があるわけであり、心の痛みであり、祈りの課題です。そしてヤコブは、こうした人たちにこそ、働きかけを行うべきであると語ります。罪人の魂を死から救い出し、多くの罪を覆うことが必要です。教会から離れ、主への信仰から遠ざかることは、死に位置しているからです。本来あるべき場所に連れ戻される必要があるのです。そのために祈らなければなりません。必要ならば働きかけを行うべきです。これこそ神の愛の表れです。キリ不トの十字架によって罪が償われ、救いにいれられるはずの人間が、死に位置することを、主は望まれないのです。
 しかし、私たちは焦る必要はありません。神さまは、神の民をすでに定めていて下さるからです。だからこそ、神の民は人生の中でどの様な試練や誘惑にあって、一時的に教会から離れたとしても、主は彼らを捉えていて下さるのです。神の予定とは、真に救いに入れられながらも、一時的に神から離れている者たち、特に家族や友人にとっては、非常に希望に満ちた教えです(参照:信仰告白18:4後半)。だからこそ、私たちとしては、主の御前に祈りつつ、主の御言葉に従い、彼らに対する働きかけを行えばよいのです。

U.未信者に対する伝道
 一方、キリスト教会に与えられた使命は福音宣教であり、ヤコブ書の文脈からは離れるのですが、この様に解釈したい気持ちは分かります。信仰の確信をもつまで長く待ち、多くの困難にぶつかる人も多くあるのです(参照:信仰告白18:3)。つまり、主によって定められ神の子とされている者であっても、ある者は教会に導かれるまでに長い年月がかかり、年老いてから主に出会う者もあるのです。また、早くに教会に導かれても、信仰を告白するまでに時間を要する人もいるのです。彼らに対する宣教を、主イエスは求めておられます(マタイ28:16-20等)。
 主の願いは失われた魂を取り戻すことです。ルカ15:1〜7にある見失った羊の譬えで説明することが出来るでしょう。主は自らが養っておられる羊が一匹いなくなれば、他の99匹を野原に残して、いなくなった一匹が見つかるまで探して下さるのです。つまり、本来、主が神の民として定めて下さっている者が、まだ神さまを信じていなければ、主はその人が教会に導かれ、主を信じ、御青葉に従った実りある生活へと導かれるまで、探し続けて下さるのです。そしてその人が神の民へと導かれることは、天の大きな喜びなのです。

V.信仰の実り、愛の実践の手紙であるヤコブ書
 今回で、約半年にわたって読み続けてきたヤコブの手紙を読み終えます。宗教改革者ルターは、信仰義認が語られることなく、行いを求めるこの手紙を「藁の手紙」と語りました。しかし、キリストの十字架により罪が赦され、神の救いに導かれた民が、キリストの僕として、キリストに倣う結果生じるのです。そしてさらに、このキリストに倣う生活とは、キリストの愛、神の愛の実践の生活でもあるのです。すでに私たちを救いに導き給う主なる神さまが、さらに一人、二人と、罪の中にある者を、救い出したいとの愛を持っておられます。御言葉に聞き、御言葉を実践していく者でありたいものです。

                                     (2007.12.16)
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