【ヨハネによる福音書連続講解説教】  辻 幸宏牧師

「言である神」  ヨハネによる福音書1章1~3節



ヨハネによる福音書1章1~3節

  1:1 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。1:2 この言は、初めに神と共にあった。1:3 万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。



Ⅰ.福音書としてのヨハネ書
 今日からヨハネによる福音書を、礼拝説教において共に読み始めます。
 福音書は新約聖書に4つ記されていますが、ヨハネによる福音書は、他の福音書と比べましても独特の雰囲気があるかと思います。それは他の三つの福音書が共観福音書と言い、マルコ福音書があり、それからマタイ、ルカの両福音書が更に記されましたが、ヨハネ福音書が他の福音書とは異なった独特の切り口を持ちを持って記されているからです。
 しかし、他の福音書と異なるからといって、私たちはヨハネ書が福音書であることを忘れてはなりません。そのことは、20:31「これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである」と記されていることからも明らかであり、「イエス・キリストが神の子キリストである」ことを語ることが福音書記者の狙いです。

Ⅱ.三位一体なる神
 各福音書の書き出しにはそれぞれ特徴があります。それぞれ世にお生まれになった人間イエスの神性を語るため、マルコは洗礼者ヨハネから、マタイはアブラハムの子孫であることから、ルカは処女降誕から語り始めます。
 それに対してヨハネは「初めに言があった」と語り、御子の永遠性から語ります。この御言葉は、明らかに創世記の最初の言葉「初めに、神は天地を創造された」を意識した言葉です。そして両者を比較することにおいて、言である御子の永遠性を告白いたします。
 創世記は、「初めに、神は天地を創造された」と語り、そこから世界は始まります。そして天地万物は、六日間に渡り、神の言において、秩序正しく創造されていきます。しかしヨハネは「初めに言があった」と語る時、初めにはすでに言葉は存在していたことを語ります。時は主なる神さまが定められます。ですから、ヨハネは、言とは神の被造物ではないことを語ります。このことは、次の言葉によって明らかになります。「言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。」つまりヨハネは、この言こそが、神そのものであると語るのです。
 しかしここでは矛盾が語られているように感じます。一方では、言は神と共にあり、神とは別の存在として語られます。しかし次に、言は神である、つまり言=神として同一の存在であると語るからです。このことに対して、教会は、聖霊なる神を含め、父なる神、御子、聖霊の三位一体なる神として解釈してきました。ウェストミンスター小教理問5・6では次のように問答いたします(松谷好明:訳)。
 問5 ひとりより、多くの神がおられますか。
  答 ただひとり、生ける、まことの神がおられるだけです。
 問6 神性の内には、幾つの位格がありますか。
  答 神性の内には、三つの位格、すなわち、父と子と聖霊があります。そしてこれら
    三つの位格は、実体において同一、力と栄光において同等の、ひとりの神です。
 つまり、1節の解釈は、次のとおりです。最初に言は神と共にあったと語る時、この神とは、三位一体の第一人格である父なる神を示しています。一方、言は神であったと語る時、この神とは、三位一体なる神そのものを語っています。ですから、聖書で「神」と語る時、私たちは両方を区別しなければならない時もあることに注意しなければなりません。

Ⅲ.創造と贖いの連続性
 しかし私たちはもう一度、福音書の目的は、「イエス・キリストが神の子キリストである」ことを証ししていることを思い起こさなければなりません。私たちは、イエス・キリストが救い主であり、キリストの十字架に福音書の頂点があることを知っています。しかし、イエス・キリストのお働きは、肉において宿られた以降、特に十字架に限ることではないということです。三位一体なる神の第二位格の御子として、創造にも携わっておられます。つまり、天地創造に携わっておられる御子が、私たちの救済にも関わっておられるのです。私たち人間は、主なる神さまの創造に与り、昨日も・今日も・明日も主によって命が与えられ、救いにおける永遠の生命が与えられているのです。だからこそ、私たちは神を喜び、永遠に神に栄光を帰することこそが生きる目的であることを告白することが出来るのです(ウ小教理1)。つまり私たちは自分自身の存在は、すべてが主なる神さまに依存していることをしっかりと見つめなければなりません。


                                              (2009.1.4)


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