【ヨハネによる福音書連続講解説教】  辻 幸宏牧師

「イエスは神の子メシア」  ヨハネによる福音書20章30節~31節



ヨハネによる福音書20章30~31節

  30 このほかにも、イエスは弟子たちの前で、多くのしるしをなさったが、それはこの書物に書かれていない。:31 これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである。



序.
 宗教改革の伝統に生きるプロテスタント教会、そして私たち改革派教会において、聖書のみ、聖書全体という言葉がキーワードとして用いられてきました。

Ⅰ.聖書のみ、聖書全体
 宗教改革当時のカトリック教会は聖書を用いることなく、教会にこそ権威があることを語り、伝承を重視し、人間の造りだしたことを教えていたことから起因しています。それに対して、宗教改革者たちは、「聖書」をとおして「信仰義認」を語り、聖書以外のものから語ることは、神の求めではなく、聖書から語られなければならず、「聖書のみ」であることを強調したのです。現在でも、説教において聖書の言葉が解き明かされることなく、説教者の持論が語られることがあり、「聖書のみ」を忘れてはなりません。
 また私たちが「聖書のみ」と語る時、私たちは、神の御言葉に徹底的に聞き従うことが求められるのです。この時大切なことは、私たちが主体的・能動的に「聖書から何を学ぶか」とするのではなく、「聖書は私たちに何を語るのか」と私たちは受動的に神の御言葉に聞き従うことが求められています。そうすることにおいて、私たちの日々の生活においても、主の御言葉に聞き従う神中心の生活へと変えられていくのです。
 また「聖書のみ」は、聖書の一部分、主イエス・キリストの十字架のみ、福音書のみ、新約聖書のみではなく、聖書全体です。つまり創世記から始まり、旧約の歴史、そしてメシアの約束、主イエス・キリストの誕生と生涯、十字架、そして使徒の歩み、黙示録という救済史の全体を通して、主は、私たちに語りかけるのです。

Ⅱ.聖書には何が語られているか?
 私たちは聖書に何が記されているか確認しなければなりません。つまり聖書とは、私たちが神さまを信じる信仰を得るために必要なことが記されているのであって、歴史書や科学の教科書ではありません。
 また聖書を私たちの知的理解の範囲で受け入れ、それを超える奇跡・癒やしを作り話として否定しつつ読むことは、無意味です。私たちの知的範囲の中に、神を閉じ込めてはなりません。主なる神さまは天地万物を創造し、自然の秩序を定めて下さった方です。つまり、神さまは有限に存在するすべてのものをお造りになられた、空間的・時間的・変化において、無限・永遠・不変の存在であり、有限・時間的・変化し続ける存在である私たち人間の理解出来る範囲で考えようとしても、聖書が語る神さまを受け入れることは出来ないのです。聖書を批判的に読み、研究することは、聖書を、神の御言葉と理解することなく、一文学書として取り扱っていることを意味します。しかしこのような読み方をしている以上、「イエスは神の子メシアであると信じる」ことは出来ないのです。
 しかし私たちは聖書を「神の御言葉」であると宣言します。つまり聖書は、私たちがイエスは神の子メシアであると信じるために記されている書物です(31節)。聖書が人間が記した言葉であれば、そこに記されている神も人間が造りだしたものとなります。しかしそうではない、そのことを私たちは聖書の言葉から読み取らなければなりません。聖書をとおして、神さまが私たちに訴えているのです。主イエス・キリストこそが、神の子メシアであり、イエス・キリストを信じることにおいて、私たちは救われ、永遠の生命が与えられることを。私たちはこの真実を聖霊の働きにより受け入れることが出来るのです。

Ⅲ.聖書をどのように読まなければならないか
 では、私たちは聖書をどのようにして、何を求めて読むのでしょうか。批判的に読むべきではありません。あるいは知恵・知識・教養を蓄えるために読むのも本来の読み方ではありません。また、つまり倫理・道徳教育の一環として聖書を読むのも相応しくないのです。また生活一般に関する“How To”を学ぶための書物でもありません。
 聖書を読む時、神さまが語りかけて下さるのです。先入観を捨てなければなりません。神さまが聖書をとおして何をお語りになるのか、神さまが私に何をお命じになられているのかを、すべて受け入れる気持ち、つまり空っぽの器に主の御言葉が蓄えられ、その御言葉に聞き従って生きようとする気持ちがなければなりません。そして聖書全体を読み続けなければなりません。そうすることにおいて、主は、聖霊をとおして御子イエス・キリストの十字架の贖いにより、あなたの罪が赦されたことを、あなたの魂に訴えかけ、それを受け入れ、信じる者へと変えてくださいます。主の御言葉に聞き、主の御言葉を信じ、主の御言葉に聞き従った歩みを行いましょう。

                                     (2012.8.5)

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